| 女性と高齢者介護〜 いい妻・いい嫁・いい娘はもういしんどい 〜 |
介護を担う女性の心理面に注目して、そのしんどさを解きほぐし、在宅介護サービス制度の充実からこぼれ落ちるもの、制度の充実を阻むものを問題提起したいと開いた公開講座。コーディネーターの予想を超える奥深さが見えた講座となりました。
社会学者の春日キスヨ京都精華大学教授から、「現代家族における女性の介護ストレスは、その属する家族で伝統的な家規範が強いか、平等な関係の夫婦を基本とする夫婦家族規範が強いかで異なる」と指摘されました。
「現代は両規範が複合しているので、心理的葛藤が複雑である。夫婦規範が強まる中では、『いい嫁』『いい娘』の介護を支える規範が弱くなり、介護ストレスが高まるのは必然である。また、女性に情緒ワークを過剰に担わせる母性愛規範、男性の介護を拒否してしまう男根優位の身体規範、男性優位の経済システムが、女性を介護に追い込む要因となっている」ということを、具体的な事例を交えて話されました。
ホームヘルパーの重岡惠子さんからは、介護経験にまつわる自分自身のしんどさ、同じくヘルパーを利用していても、性別役割分担意識から心理的葛藤の強い女性と、葛藤がなく、ヘルパーと役割分担がしやすい男性の違いなどを、体験を通して話されました。
WCKのスタッフである坂田は、フェミニストカウンセリングの視点から「いい妻」「いい嫁」「いい娘」のしんどさを指摘しました。内容は、性別役割分担のしんどさ、「女らしさ」としての他者優先性、密着した介護関係における「境界」のなさ、介護=「愛」の罠。自分の気持ち・感情を意識化して、自己受容・自己尊重することが、しんどさからの解放の第一歩であると、問題提起しました。
春日教授によると、「介護」は16年前に初めて広辞苑に出た新しい言葉で、以前の「看護」と違った内容をこれから作り上げていく必要がある概念です。そのうえ、介護を担う女性のしんどさへの注目も始まったばかりです。心理的しんどさの中身は、当の本人でさえ、意識化出来ていないことも多いと思います。WCKがサポートしていきたいテーマであることが再確認出来た公開講座でした。 |
|