公開講座報告書

2023年公開講座報告

2023年11月23日、京都府「困難な問題を抱える女性支援事業」の一環として、ウィメンズカウンセリング京都(以下、WCK)公開講座をオンラインで開催した。この数年、女性相談の現場でもトラウマインフォームドケア(以下TIC)の研修を依頼され、トラウマケアの重要性が認識されるようになっている。改めて、この公開講座でACE(Adverse Childhood Experiences)の概念を学び、地域社会で必要な支援を考える機会となった。三谷はるよさん(龍谷大学准教授)、池田裕美枝さん(SRHR Japan代表理事、産婦人科医)、周藤由美子(WCKスタッフ)の発表について、報告する。

 

◆三谷はるよさん ―「『ACEサバイバー』子ども期の逆境に苦しむ人々」

ACEとは、子ども期の逆境体験で、18歳になるまでに、虐待・ネグレクトや、家庭の機能不全(家族の依存症、精神疾患、DV等)にさらされる体験のことである。三谷さんは、去る5月にちくま書房から新書を発行している。ACEという視点を打ち出すことで、生まれによる格差・生きづらさが長期的に持続することを問題提起し、ACEサバイバーが生きやすくかつACEを予防する社会にするための提言をしている。提言は、①支援者養成の場でACE・TIC教育を、②小中学校で性教育・人権(SOS)教育を、③児童虐待対応システムの改善を、④妊娠期からの「伴走型支援」を、の4点にまとめられている。
この研究は、1990年ごろアメリカ・サンディエゴの医師による、肥満専門クリニックの患者の55%に子どものころに性虐待の被害経験があったという臨床現場での気づきが発端である。日本での2020年ごろの疫学研究も紹介された。ACEスコアが高い高齢者ほど、主観的健康度が低く、がん、心疾患、または脳卒中、糖尿病の有病率が高い。認知症発症リスクが高い。高ACEスコアの若年の母親は自傷念慮リスクが高い。高ACEスコアの母親の子どもに問題行動や抑うつ症状が出やすい。といったものである。
ACEが健康問題をもたらす理由は、3点。①慢性的なストレス曝露による神経内分泌系・免疫系への影響、②ストレスに敏感な脳領域での構造的・機能的な変化、③遺伝子の働きが後天的にオフになる、である。そして、日本でのACE実態として数万人規模の全国調査から、慢性身体疾患・精神疾患、心身の不調をもたらす、社会経済的困難をもたらす、対人関係に影響を与え未婚離婚、社会的孤立をもたらす、世代間連鎖するといった調査結果が紹介された。
支援者が知っておきたいこととして、発達性トラウマや複雑性PTSDについて理解しておくことや、「ACEの中で育つと、自分の感情や行動を抑圧し、情動調律の機会が奪われることで、自己や他者のとらえ方が歪む」こと、愛着とトラウマの相乗的悪循環が起こること等が説明され、パートナーシップへの影響や性的早熟とストレス状況を乗り切るための適応や誤った学習としての性化行動が出現することに言及された。
保護要因(リスクの悪影響を相殺する要因・緩衝材)を強化するアプローチはPCE(Positive Childhood Experiences:子ども期の良い体験)と呼ばれる。18歳になるまでに経験された、子どもの帰属意識やつながりを構築できるポジティブな体験、例えば、安定的な養育関係と環境、親以外の信頼できるおとな、友人・仲間との良い関係、地域社会とのつながり、ニーズに応じた具体的支援などである。
また、成人期には「ソーシャルサポート」「重層的支援」の体制の重要さが指摘された。ACEについての理解とともに、TICの「すべての人が逆境体験・トラウマを有しているかもしれないという視点」をもち、再トラウマ化を予防するためのネットワークによる支援が急務である。

 

◆周藤由美子 ―「フェミニストカウンセリングの視点で ACEサバイバーへの支援を考える」

ウィメンズカウンセリング京都が実践しているフェミニストカウンセリングは、「個人的な問題は政治的な問題である」という考えをもち、「支援してあげる」のではない対等な「シスターフッド」の関係性、被害者の回復する力を信じる「エンパワーメント」を特徴としている。WCKは、京都SARA(京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター)の運営を受託しており、2018年にはKYOTO SCOPE(社会的困難女性を支援する人のためのソーシャルプラットフォーム)の開発に参加、協力した。
また、2021年度から京都府の困難な問題を抱える女性の支援事業の委託を受け、無料カウンセリングやサポートグループなどの伴走支援、支援者養成事業を実施している。若年女性支援団体や自立援助ホーム、依存症回復施設とも連携した。カウンセリングでは、利用者のほとんどを占めるのが過去に被虐待経験のある方やDV・性暴力被害に遭った方であり、孤立状態にあることが判っている。
女性支援法が2024年春に施行される。困難な問題を抱える女性は、「性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む)」と明記されていて、ACEサバイバーの可能性があることが想定される。支援には、これまで提起されたフェミニストカウンセリングの視点とネットワークの力が重要である。

 

◆池田裕美枝さん —「KYOTO SCOPEのご紹介& ACE 予防のために私たちにできること」

SRHR(Sexual/Reproductive Health and Rights:性と生殖に関する健康と権利)は、国が人口政策を行うときの客体としての「生殖」から、個人が主体的に行うものとしての「生殖」へ社会の側が変わっていくことに世界が合意したということであり、「管理・指導」することから「支援」への転換があった。そして、性と生殖に関することについて「Bodily Autonomy」が尊重されることは基本的人権保障の必要条件であると説明された。
KYOTO SCOPEは、池田さんがSRHRを大切にしたいと産婦人科医療を進めるなかで活動した研究の成果物だと説明があった。望まない妊娠、依存、虐待、貧困など、社会的困難を抱えた若年女性を支援している機関の間でオンライン交流・学びあいの組織であり、行政や地域の支援団体など30の機関の協力で運営されている。地域資源リストを掲載して、よくある困難ケースを仮想症例として提示し、オンラインによる参加型の多職種の勉強会も開催している。
JST(国立研究開発法人)/RISTEX(社会技術研究開発センター)の「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域の取り組みによって、2018年4月から2019年8月まで、効果的な医療ソーシャルワークチームの行動特性調査を実施し、そこでTICを実践、より適切な支援をする人たちとチームでケアしている人たちに多く出会った。そのことがKYOTO SCOPEにつながった。現在は、「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)で活動している。
そして、TICの視点で支援することについて、構成事例を交えて説明された。トラウマは見えないので、「理解不能な行動に見える」ため周囲が適切でない対応をしてしまう、そして、再びトラウマを受けてしまったり、加害者になってしまうという悪循環が繰り返されてしまう。支援のゴールはエンパワーメントである。「治る・治らない」ではなく、本人が自分の力を取り戻し、問題に直面し問題解決に取り組むことを支援者は支えることが目標である。

 

◆発表の後は、参加者からのチャットでの質疑とともに、提起者同士の討議があった。
ACEスコアの項目は現在10項目(身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、心理的ネグレクト、身体的ネグレクト、薬物・アルコール乱用、精神疾患、近親間暴力、服役、親の離婚)であるが、貧困やいじめ、文化の違いによる影響もあり、今後も検討が必要とのことである。ACEがスティグマとなるのではない、PCEが提供できる社会への変革が重要であると言える。子どもの虐待問題について、子どもへのSOS教育と人権教育が必要であるという提起もされた。子どもがたくさんの依存先をもつことが自立につながるという概念や子どものトラウマを予防するために予算をかけているフランスの事例なども紹介された。
社会の問題としてとらえるフェミニストカウンセリングがACEサバイバーの方に有効な支援につながることも確認され、今後、困難な問題を抱える女性への支援のために、より多くの支援団体との地域でのネットワークの構築が、重要な課題だと再認識した。

【竹之下雅代】

WCKニュース第105号より転載

 

参加者アンケート

新しい言葉、ACEでした。チラシのイメージより広い意味で、取り組みの方向性も示してもらってよかったです。海と空のクリニック連携心強いです
臨床の最新の情報を聞くことが出来て良かったです。もっと多くの人にACEに関心を持ってもらいたいです。
とても勉強になりました。ありがとうございます。
ACEは女性問題だという三谷さんの言葉が心に残りました。池田さんの、患者さんとの関わりを聞かせていただけたのもよかったです。
貴重なお話をありがとうございました。
ACEに関してほぼ初めて本格的な話を聴くことができ,大変参考になりました。「自分を諦めた人」に対してどのような支援や繋がりをしていけばよいのか、考えていきたいと思います。今後もこのような講座があればぜひ参加したいです。
とても参考になりました。三谷先生の本を読んで、もう一度勉強したいと思います。
ご紹介いただいた本を読んで学びを深めたいと思いましたし、TICについて学びたいと思いました。TICやACEに関する講座や研修会の情報等があれば、教えていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。ありがとうございました。
今日の公開講座をお聴きし、トラウマ、TIC、ACEが自分の中でつながった感覚があります。実践で使えるようになるために、学びを深めていきたいと思います。池田先生のようなお医者様がいること、心強く思いました。三谷先生の著書、さっそく読みたいと思います。
児童心理治療施設で勤務しています。我が園の子どもたちのACEスコアの中央値は5です。PCEの体験を子どもたちに提供できるよう努めたいと思います。
3人のお話し、とてもよかったです。
特にACEとTIC、そしてSRHRの繋がりがわかりました。
また、自分は高校生のスクールカウンセラーみたいな仕事もしているのですが、彼ら彼女達の話を聴くことしかできないことも多く、役に立っているのかな、という思いがしばしばこみ上げて来ますが、PCEになっているのかな、と思うと自分がちょっと安心しました。これからも、子ども達の声を聞いて行きたいです。
有意義な講義でした。
池田先生の義務教育って子どものこころを…というのには、激しく同意でした。
今日のような講義が、ACE当事者のひとたちが聞けることができれば、人生を諦めない勇気がもてるのだと思いました。
ありがとうございました。
非常にわかりやすくさらに活力をいただける講座でした。若い先生方の思い熱意が伝わってきました。WCKの活動の深さと広がり、素晴らしいです。まだまだやることありますね。明日からの活動のヒントをいただきました。ありがとうございます。改めてBodilyAutonomy考えたいです。
京都にscopeという組織があることを初めて知りました。相談支援をするうえでTICの認識は非常に重要だと思っており、今回の研修に参加させて頂きました。私自身、少しずつ今後も学びを深め、困っている方々に寄り添える姿勢をもつ支援者でありたいと改めて感じました。ご講演くださった先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
19歳の事例、高校の保健室で養護教諭をしていた時にそういう生徒たちが多くいました。放っておいてオーラを出しながら毎日保健室にポツンと座っていました。つかず離れず3年間関わっていると何とか心を開いてくれたりしました。今から思えばみんなACEスコアは高かったです。長期戦になります。懐かしく思い出しました。
今の行政の相談ではなかなかそこまでのつながりは難しいですね。
普段業務で直接関わる事が少ない女性や子供を視点にした支援ではありましたが、自分の業務にもトラウマインフォームドの観点で言えば、大いに関わるもので、今までの関わり方をもう一度、再考させられる思いでした。
また、自分自身も女性として、社会人として、子供の親として、今後の日本の子育て支援として、お金のばらまきや、保育園誰でも入れる様にとか、目先のものではなくて、将来子供が生きやすく、経済的に困る事ない未来が描ける様なものがあれば、もっと子供を積極的に産もうと若い方も思うでしょうし。とても色んな事をもう一度、新たな視点で見直して考えようと言う機会になり、学ぶものが多かったです。ありがとうございました。
ACEが誰にでもあることなんだと分かり、このような教育を是非、義務教育化したいと思っていることが、私以外にもたくさんいらっしゃることに勇気をもらえました。池田先生の「戦わなくてはいけませんね」の言葉を胸に私にできることをすすめていきます。本日は三谷先生、周藤先生、池田先生ありがとうございました。
ACEについて興味を持ち、受講しました。非常に学ぶことが多く、参加して良かったです。生育環境が生きづらさに繋がっていることは想像はしていましたが、データとして示されるとその根深さに驚かされました。
研究者、フェミニストカウンセラー、医師と3人の方からそれぞれの現場でのお話を伺えた点も、ネットワークとしての支援に関する議論に深みをもたらしていて、とても良かったです。
まだ消化しきれていないことばかりですが、今日いただいたヒントを1つでも2つでも、自分ができることにつなげていこうと、やる気になりました。
良かったです。
ほとんどの日本女性はACEサバイバーだったんですね。ただ、日常の中で誰の問題であろうと均質化されてしまい、しかも男性(大人)には見えていないこともあって社会で関わっていく意識も低いのでしょうか。少子化対策という言葉や政策に、気持ち悪さを感じていたのはここだったんですね!
ヤングケアラーについても、家の手伝いをして「えらいね!」なんて言ってしまいがちですが、それがもとで「助けて」の声を出せなくしてしまっている社会でもあるなと思います。
子どもたちに「権利」を教える事は「助けて」と言えることだと伝え続けていきたいです。
子どもの目線で対応するために多様な機関連携し情報交換しながら支援していく。各専門職のつながりの中でこの事例はこうなった的な経過が知れると手探りの中での失敗を含めての学びと経験の積み重ねができると思う。支援機関につながれば良いということではない。
新しい発想に触れ刺激を受けました。
今日は、何よりも、子どもの人権、ひいては一人一人の人権が尊重されることが大切にされる社会の実現に向けての思いを強くし、また、若い方たちの活動・研究・行動を伺い、そのような社会実現への希望を感じました。言葉としての「だれ一人取り残さない社会」が実質的な中身を持つように。そして、「自分らしく」の中身を吟味する時間になりました。
日本は、戦後78年、「人権」について実質的に尊重されずに今日に至っています。フェミニストカウンセリングの基本的な視点・考え方である「Personal is political」を、更に強化・強調し、ポジティブな意味で、社会の再構築に向けて再確認したいと思いました。
講座通して、、京都・関西でのフェミカン的繋がりも実感できました。期限過ぎての申し込みを受け入れてくださり、本当に良い時間をいただきありがとうございました。
本日はありがとうございました。
私用があり、半分くらいしか参加出来ませんでしたが、とても貴重な講義が聴けて良かったです。
ACEである私たちは、支配に慣れてしまっている事、自分自身の心の声が聴きにくくなっている事を改めて思い知りました。
子どもの虐待のニュースを見るたび、苦しくなり、無力感に襲われます。けれど、なんとか支援しよう、と考えてくれている方々が沢山いらっしゃる事に希望を持てました。
ACEの問題をすっきりまとめていただいて、「ACEサバイバー」というキーワードがあると伝えにくい事象をきれいに言い当てることができて、すっきりしました。当事者の方とせっする際や支援者との話し合いが、この軸があるとやりやすくなりそうです。
ACEsはACEsの人だけがわからなければいけない言葉ではない。自分や大切な人の幸せなライフスタイルQOL、健康的な経済力を培う為にも、国民一人一人が得なくてはいけない教育であるということ。私もその中の1人でいることを忘れず、このような活動へ積極的に携わっていきたいと思いました。負の連鎖を断ち切りたいと切実におもいました!本日は誠にありがとうございました。
「ACE」という言葉と概念を知ることができて、もっと多くの人々に知って欲しいと思いました。私も含め周囲に多くの「ACEサバイバー」が存在すると思うので、地元でも「ACE」についての講座が開けるように動きたいと思います。
京都で、本日の講師のような若い世代が、WCKや多くの人々と繋がって、困難な問題を抱える女性を支援されていることを知り、とても心強く思いました。
三谷さんの書かれた本「ACEサバイバー」も早く読みたいと思いました。
まず、ヒトの身体・健康と心と社会の関連性を意識しながら診療に携わっておられる池田先生のような医師がおられることが衝撃でした。
また、次の言葉がとてもストンと心に落ちました。いまの少子化対策は、単に女性が働きながら子どもを産むだけの政策ばかりが論じられ、もやもやしたものを感じていましたが「客体から主体の生殖」という言葉が、本来、まず社会の側が先に取り組むべき方向性が表現されておりとても納得するものでした。
さらに、「Bodily Autonomy」の尊重については、その行動が本当に本人が安心して決定したかどうかは「心とからだの声をきくこと」が大切であるという話が、今の日本文化には理解されていないことを強く感じました。女性が我慢する、迎合することが当然の文化である社会を変えていかなければ、本当に安全な社会にはならないと感じました。支援者である自分自身も、関わる方へ対等に関われているか、大切にできているかを繰り返し意識していないと再加害になりかねないと思いました。
今日はありがとうございました。
カウンセリングや電話相談など、女性の支援をしている私にとって、今日の内容は必要不可欠な視点であると、改めて痛感しました。
と同時に、自分の関わりを振り返る機会になりました。知っているだけではダメだと思います。明日からの実践に活かしていきたいと思います。
休憩後の講師3人のディスカッションは、とても興味深かったです。すごくパワーを感じました。お聞きしていると、「私もやるぞ!」と前向きな気持ちになりました。エンパワーメントされたように思います。
参加できて本当によかったです。ありがとうございました。
ACEやトラウマインフォームドケアなど、初めて聞く言葉・概念でした。
相手の表面上で見とれる、聞きとれる、感じとれる、事にシンプルに反応するだけでは、
こちらは真剣に対応しているとしても、
相手の心の中の状態に気付く事が出来ずに、取り返しのつかないことになることがあると、よく分かりましたし、
それを心に留めて人に接したいと思いました。
また、その辺を汲み取ってフォローしていくために、いろんな方々がいろんな形で、いろんな役割で、積極的にフォローし合って関わっている状態、それを作り出そうという取り組みを知り、素敵だなと思いました。
有難う御座いました。
幼少期の体験がこんなにも深く重く、後々何世代にも影響を及ぼす事。女性のためのカウンセリングの存在をもっと多くの方に知って頂く必要性を切に感じました。
相談に来る事が出来る人はまだ救える手立てを一緒に考えることが出来ますが本人にそこから抜け出す気持ちが全くない例もある事も知り『自分を大切にする!』事の難しさを改めて考えさせられました。
今日は、ありがとうございました。
ACEに関する研究や現在の10代の事例、フランスの体制など含めて勉強になりました
まずは今回の企画をいただき、誠にありがとうございました。
ACEという包括的概念やTICの視点は、これまで個々に語られてきた虐待、DV、依存症など家族にまつわる社会課題を統合的に理解することを容易にしてくれると感じます。
同じものさしをもつことで、アセスメントやアプローチが共通認識のもと多職種多機関で語れ、クライエントにとっても支援者にとっても有益なツールだと考えます。
立場が違う3名の語りが、それを物語っていて、支援者として心強い気持ちになりました。
ありがとうございました。
引き続き議論を深めたいという想いがあります。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
困難な状況にあるいろいろな方の話を聴く中で、暴力の世代間連鎖の問題は大きいと感じている。ACEsの問題もまさにそうだ。 ACEsが心身の健康とその後の人生に及ぼす影響について知り、愕然としたが、PCEsにより少しでも保護できることに希望を持った。今回、この話を聴くことができて本当によかった。
また、トラウマインフォームドケアについては、言葉や概念は知っていたが、「わかったつもり」だったことに気付いた。これまでよかれと思って言った言葉が相手を傷つけていたのではないか。そもそもその言葉は、「自分のため」だったのではなかったか。今日の研修で悩み、考えたことを忘れずにいたい。
義務教育で「子どもの権利」と「SOSを出すこと」を学ぶことが必要だという意見には、私も賛成だ。そして、子どもだけでなく、自分の話を誰かにじっくり聴いてもらう経験は私たち大人にも必要だと改めて感じた。
ACEについて今まで知らなかったことをわかりやすく説明してくださり、学びの時間をいただきました。子どもの頃の逆境体験がもたらす影響を少しでも減らしていくように、もっと真剣に国が施策を行うべきだと強く感じました。またWCKのされている活動や産婦人科医の池田さんのお話も具体的で新鮮でした。ありがとうございました。
新しい言葉「ACE」を知りました。「ACEサバイバー」というネーミングで広く理解されるようになることを願っています。
助けを求めていない人を助けることは難しいけれど、その人助けてほしいと思った時に、相談でき場所を作って、伝えておくことが大事なんだなと思いました。

2024/03/21 [公開講座報告書]